Vital Room
呼吸を重ねて、心を整えるVRセンサリールーム

着想
感覚過敏やストレスへの配慮から生まれた「センサリールーム」を、VRの没入環境へ持ち込めないか。
アプローチ
心拍と呼吸で空間が応答するVR体験。中心の球体に呼吸を重ねると心拍が整い、その安定度で空間の表情が変化する。
成果
環境を操作するのではなく、身体のリズムが空間を形づくる双方向の関係を没入のなかで体感させる作品を構築。Tsukuba connect #79 出展。
作品概要
感覚過敏やストレスに配慮した「センサリールーム」は、刺激を整えた安心できる環境をつくることで心を落ち着かせる試みとして知られている。
「Vital Room」は、その発想をVRに持ち込んだ感覚体験である。空間の中心には、ゆったりと脈動する球体のオブジェがある。鑑賞者が自分の呼吸をその動きに重ねると、心拍が穏やかに整っていく。心拍が安定すれば球体はまるく澄み、心拍が上がるとぎざぎざと尖り、不安定な姿に崩れていく。 環境を操作するのではなく、自分の身体のリズムそのものが空間を形づくる——その双方向の関係を、静かな没入のなかで体感させる作品である。

体験 — 心拍・呼吸との連動
鑑賞者はVRヘッドセットを装着し、青い有機的な空間の中で中心の球体と向き合う。球体はゆっくりと拡張・収縮を繰り返し、その周期が呼吸を導くペースメーカーとして働く。
計測した心拍をリアルタイムに球体の形状へ反映する。
- 心拍が安定 → 球体はまるく、表面はなめらかに
- 心拍が上がる → 球体は尖り、ぎざついて崩れる
緊張すれば空間が乱れ、呼吸を整えれば空間も澄んでいく。鑑賞者は「落ち着こう」と意識するのではなく、目の前の崩れたかたちをまるく戻そうとするうちに、自然と呼吸が深くなり心拍が整っていく。身体状態を視覚的なかたちへ翻訳することで、内受容感覚を外から眺められるようにした。


システム構成

心拍センサで取得した生体情報を Python で処理し、リアルタイムに球体の形状パラメータ(まるさ/尖り)へマッピングする。
- 生体信号の取得・前処理は Python で実装
- 球体オブジェと空間の映像は TouchDesigner で生成
- VR空間としての没入提示は Unity で構成
心拍の安定度を1つの連続値に落とし込み、それを球体ジオメトリの滑らかさと脈動周期へ連続的に反映することで、身体と空間が地続きにつながる感覚をつくった。
展示


個人制作として開発し、Tsukuba connect #79(2025年7月)に出展した。手前のディスプレイには鑑賞者が見ている球体と生体情報の波形をミラーリングし、体験者の身体の状態と空間の変化の対応を、周囲の来場者も一緒に眺められるようにした。
制作体制
個人制作
導入・展示実績
- — Tsukuba connect #79 (2025/7) 出展