Augmented Hanahuda
観客参加で役が揺らぐ花札インタラクティブ

着想
「役」という固定された規則的な構築物を、その場で交渉できるものにしたら、プレイヤー体験はどう変質するか。
アプローチ
観客のリアルタイム投票で役の得点倍率が揺らぐ花札こいこい。盤上の札はYOLO11でリアルタイム認識(mAP50=0.993)。チーム制作。
成果
役を観客の合議で決まる賭けの対象へと変質させるインタラクティブ作品。アート&テクノロジー東北 2026 で優秀賞を受賞(2026/7)。干川は画像認識・映像・ハードウェア設計を担当。
作品概要
伝統的な花札の遊戯を、観客の参加によって役の得点が動的に変化するゲームへと再構成したインタラクティブ作品。体験者2名が、底面に春夏秋冬の季節映像を映す台座の上で「こいこい」をプレイし、観客は手持ちのスマートフォンから現場のローカルWebに接続して「いまの季節に最も合う役」へ投票する。投票結果は各役の得点倍率に即時反映され、得点配分が刻々と揺らぐ。役は固定された規則ではなく、その場の観客の合議によって決まる賭けの対象へと変質する。
仕組み
机上の札は、花札48種を識別するよう再学習した深層学習モデル(YOLO11ベース、mAP50=0.993)で、Webカメラ映像からリアルタイムに認識する。推論はApple SiliconのノートPC上(PyTorch + Metal/MPS)で動作する。観客の投票はローカルのFlask + WebSocketサーバで受け取り、PostgreSQLへ逐次保存して各役の倍率計算に用いる。役が成立すると、台座底面の季節映像にその役を称えるエフェクトが重畳される。

会場のWi-Fiは使わず、持ち込みの小型Wi-Fiルータで現場ローカルLANを構築する。通信とデータはすべて会場内で完結し、個人情報の取得・外部送信は行わない。観客が少ないときはPC側にダミー投票者を立て、勝敗のバランスを保つ。
問い
役という文化的・規則的な構築物を「その場で交渉できるもの」にしたとき、プレイヤー体験はどう変質するか。映像が何を見せ何を見せないかは、観客の合議行動にどう影響するか。観客のいない時間と居合わせる時間で、ゲームの語りはどう違うか——花札という賭博性をもった遊戯を通して、こうした問いを扱う。
筐体・展示

筐体は平安神宮の楼門を思わせる木組みのフレームに簾を掛けた構造とし、台座へ組み込んだ大型ディスプレイに季節映像(TouchDesigner制作)を映す。フレームはFusion 360で設計した。
制作体制
グループ制作 / 干川は花札の画像認識・映像・ハードウェア設計を担当
導入・展示実績
- — アート&テクノロジー東北 2026 優秀賞 受賞(2026/7, 岩手大学)